コラム

ディープな文化圏に発展したニコ動「踊ってみた」

人気動画サービス「ニコニコ動画」では、「歌ってみた」「演奏してみた」といったカテゴリからプロデビューを果たす配信者が続出し、大きな盛り上がりを見せている。アニメ『日常』のOPなどを手掛けているヒャダイン氏のように、プロであることを隠して投稿していたケースもあり、そのレベルの高さは折り紙つきだ。

そんな中で、一部で熱狂的な盛り上がりを見せているのが「踊ってみた」のカテゴリ。投稿者がアニソンやニコ動のオリジナル曲をバックにダンスをするというものだが、以前は歌や演奏ができない人達のお手軽な自己表現という側面もあった。だが、次第にレベルが上昇し、現在はプロ顔負けの激ウマ素人ダンサーや商業イベントでも引っ張りだことなる人気ダンサーを生み出している。

ホラーマスクを被って踊るダンス集団「ゾンビーズ」は、YouTubeやニコ動に投稿された動画が話題となり、現在は多数の学園祭や各種イベントなどに出演するほどの人気に。ユニークな見た目とダンスレベルの高さのギャップが海外でもウケており、日本よりも外国での知名度の方が高いといわれるほどだ。

ゾンビーズ もってけ!セーラーふく

森の中で覆面の爆乳女性たちが踊り狂うという謎のパフォーマンスが話題になっているのは、中日ドラゴンズのマスコットキャラ・ドアラの覆面を被ったドア子さんを中心に結成されたダンス集団「ドアラ部」。DVD映画「爆乳戦隊パイレンジャー」の主題歌で踊る彼女たちは、同作のパイブルー役を演じたグラビアアイドルでプロレスラーとしても活躍する愛川ゆず季ともコラボ。愛川主催のプロレス大会「ゆずポン祭」にドアラ部が出演し、リング上で本家と一緒に踊るという偉業を達成した。

【ドアラ部】『爆乳戦隊パイレンジャー』を踊って回ってみた【豪華!!】

「踊ってみた」の女性踊り手たちが結成したダンスユニット「1年25組」は、ニコ動内でアイドル的な人気を誇る。若い女性ばかりのためビジュアル面ばかりが注目されがちだが、ダンスのクオリティも十分であり、メンバーの住んでいる場所が離れているため、本番まではスカイプなどで連絡を取ってフォーメーションを確認するという涙ぐましい努力を陰で続けているそうだ。

【1年25組】ぼくとわたしとニコニコ動画踊ってみた!!【にこぐみ】

「世の中のあらゆる二次元を具現化するプロジェクト」として活動するパフォーマンス集団「鎖音プロジェクト」は、謎の仮面を着けたメンバーの怪しさと動画編集のレベルの高さが魅力だ。ダンス動画だけでなく、アニメ「まどか☆マギカ」や「マクドナルドハッピーセット」のCMなど、ネットで話題になったネタを基にした面白動画を投稿して人気を集めている。

【鎖音プロジェクト】実写で魔法少女まどか☆マギカOPED【レーベル10】

6月19日には、「踊ってみた」で活躍する人気踊り手たちが一堂に集まるイベント「ニコニコダンスマスター2」がディファ有明で開催される。第1回のイベントでは、会場に入りきれない人が出るほどの盛況ぶりとなり、ニコニコ生放送の中継の視聴者は12万人を超えた。「歌ってみた」「演奏してみた」に比べると一般的な話題にはなりにくい「踊ってみた」だが、実力派ダンサーとファンが急増しており、確実に独自のディープな文化を作り上げている。新たなエンターテイメントが生まれる場は、華やかなステージではなく「ストリート」だと古くから言われてきたが、今やその場はネットに移っているのかもしれない。(佐藤勇馬)

■画象引用元 ニコニコ動画 http://www.nicovideo.jp/

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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