コラム

現職議員のツイートで話題の「地震兵器」って何だ!!?

 

24日に終わった統一地方選。ネット上では福島第一原発の事故を受けて「反原発」の論調が高まっているが、原発が立地する自治体で原発反対派候補の目立った伸長はなかった。

 

ネット上で危険性が盛んに喧伝されていた高速増殖炉「もんじゅ」など原発3基を擁する福井県敦賀市でも、市長選で「原発との共存共栄」を掲げる現職の河瀬一治氏が5選を果たしている。10日に行われた都知事選に比べれば目立った対立軸も見当たらず、世間の関心も低かった中、異彩を放っていたのが「震災は地震兵器説」を持ち出した民主党所属の広島県議会議員・梶川ゆきこ氏(52)だ。

 

 

民主党広島県総支部連合会の幹事でもある梶川氏は23日、Twitter上で

 

「今、日本は戦時下の非常事態にあることを認識すべき。自然界ではありえない地震だということは、『人工地震』でネット検索をかければ、実証データがでてきます。なぜか、ここにリンクで貼れないので、自分で確かめて下さい。 日本のマスコミが報道することだけを信じるな!が、私のつぶやきの意図です」

 

と発言。

 

さらに震災は「人工地震テロ」であると言い出し、人気劇画『ゴルゴ13』(リイド社)の第6話 『人工津波技術』というストーリーを基に、津波も人工的に起こされた可能性があると主張した。だが、梶川氏が証拠として提示したマンガの一節は某サイトが作製したコラ画像であり、本物のストーリーには人工津波という言葉すら出てこないことが後に判明している。

 

人工地震の可能性を唱える人々から地震兵器と呼ばれている「HAARP(ハープ)」は、『高周波活性オーロラ調査プログラム』の略称であり、それは米・アラスカ州に建設された大規模な研究施設である。アラスカ大学や米軍などの共同研究により「大出力の高周波を電離層に照射して活性化させ、電離層の挙動や無線通信などへの影響を調査することが目的」であると説明されているが、現地には尋常ではない数の送信機や電波探知機、磁気探知機などが設置されており、これが様々な憶測と陰謀論を呼び込むことになった。

 

「人々をマインドコントロールするための施設」「天候を自在に変える装置」「高高度核爆発への対抗兵器」などの説が生まれ、その中の一つが「地震兵器」というものだ。ベネズエラのチャベス大統領が「ハイチ地震は米国の地殻兵器(HAARP)によるものだ」と発言したことで知名度が上がり、日本にもHAARPと同じ地震兵器が京都に存在するという噂がある。

 

また、梶川氏は

 

「深海掘削船・ちきゅう号が掘削したところと震源地を重ねると、津波兵器使用の可能性を疑わせるようです」

 

とも発言しているが、この話も陰謀論者の間では非常にポピュラーな存在だ。地球深部探査船『ちきゅう』は、地球内部の調査のために海洋研究開発機構が運用しており、10キロほどの深さまで掘削することができるが、大震災の震源の深さが10キロという情報が一時流れたことで、一気に陰謀論の標的となった。しかし、『ちきゅう』の掘削によって開けられる穴は直径20センチほどで、とても巨大地震が起こせるとは思えない上に、実際には大震災の震源の深さは24キロだった。
さらに、地震発生時は青森県八戸市に停泊しており、震源地の宮城県沖まで瞬時に移動したとは考えにくく、常識的に考えれば破綻した論理といえるだろう。

 

陰謀論を唱える人々は昔からいたが、現職議員が不特定多数に向けて堂々と珍説を論じるということは異例だ。ネットの登場で手軽に情報の入手・拡散が可能になったが、ネットには陰謀論をはじめとする真偽不明の怪しげな情報が山のように存在する。ネットで陰謀論サイトを見たことで感化される人も多く、これは全てが手軽になり過ぎたネットの負の面といえる。

 

人工地震や人工津波を起こせる可能性はさておき、震災後はデマの拡散を防止するよう国が呼びかけているだけに、現職議員が真偽不明の情報をネット上でバラ撒くというのは感心できない事態だ。ちなみに、梶川氏は今回の統一地方選で落選。しかし、任期は4月29日までとなっており、梶川氏は今も現職議員として、Twitterで人工地震と人工津波の危険性を訴えている。

■参考記事

Twitterのデマ拡散を防ぐ「デマだったー」(twicca用プラグイン)

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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