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残念すぎる「嫌中憎韓」をめぐる大手メディアの対立 読者離れがさらに加速中

最近、出版界のトレンドが「嫌中憎韓」になったとして議論が巻き起こっている。実際に書店では中国や韓国を批判する内容の書籍が平積みにされており、専用のコーナーを設けている店も少なくない。週刊誌も韓国・中国を批判する記事を目玉として扱うようになった。

そういった書籍がベストセラーランキングでも上位に入ることが多くなり、昨年12月に出版された『呆韓論』(産経新聞出版/室谷克実・著)は発売1週間でAmazonの新書部門ベストセラー1位となり、発売から2ヵ月で20万部という驚異的な売上を記録した。

この現象について朝日新聞は「売れるから『嫌中憎韓』書店に専用棚 週刊誌、何度も」という記事を掲載。嫌中憎韓ブームの背景には「売れるから」「訴訟リスクが低い」などといったメリットがあり、出版社が利益重視でいたずらに中国や韓国に対する国民の悪感情をあおっているのではないかと警鐘を鳴らしている。

また、同記事は1月末号で嫌中憎韓路線を転換した『週刊現代』(講談社)の「『嫌中』『憎韓』に酔いしれる人々は本当に武器を取るつもりか」という言葉を紹介し、同誌記者の「感情的な議論でなくきちんとした検証が必要。面白いだけでなく、ためになる週刊誌でなければならない」というコメントも掲載。識者や業界人の言葉を借りながら、嫌中憎韓ブームを痛烈に批判した。

この記事で“嫌中憎韓メディア”として名指しされた各出版社は紙面やネットで反論。『週刊ポスト』(小学館)は「『嫌中憎韓』が売れるのは朝日新聞のおかげです」という大見出しで「政権批判の根拠を『中国・韓国の反発』に置く」という朝日の姿勢を糾弾。中・韓の出来事や意見を大きく取り上げる朝日の“歪んだ反日報道”が、嫌中憎韓ブームにつながったと皮肉った。さらに同誌は「中国・韓国が連日のように、日本に対する批判や国際的な宣伝工作を進め、アメリカをはじめ世界各国でそれに呼応した動きが出てきている。それに敏感に反応するのはジャーナリズムとして当然のこと」とも論じている。

「呆韓論」を出版した産経新聞出版は、朝日新聞記者に電話取材された際のやり取りを公式Facebookで公開。前述の該当記事についても「まるで韓国に関する本が「売れてはいけない」みたいな記事です。しかも、<日本を賛美する内容の本と並んで>という一文を入れているところからも意図が伺えます。では、『日本を貶める』記事は垂れ流されてもいいのでしょうか」と、その内容だけでなく朝日新聞の報道姿勢まで厳しく批判。さらには「週刊誌などだけがブームを作ったわけではない。メディアが日韓・日中の対立ばかりを報じ、日常的な交流のニュースを捨象してきたことも根本にある。報道全体の検証が必要だ」といった記事の一文を以下のように添削する皮肉まで披露した。

「週刊誌などだけがブームを作ったわけではない。朝日新聞が先頭に立って日韓・日中の対立ばかりを報じ、『従軍慰安婦』を捏造して問題化して対立を煽り、『いたずらに差別を助長する』と本質的な国柄の違いを報じてこなかったことが根本にある。報道全体の検証が必要だ」

朝日新聞の記事が恣意的で“右派への嫌み”に満ちた内容だったのは明らかだが、一方の反論側も子供じみた“仕返し”が目立っている。傍から見れば、どちらも日本を代表する出版社や新聞社の言論とは思えないものだ。嫌中憎韓ブームをめぐる報道が、残念な場外乱闘に発展してしまっているといえるだろう。

このようなハナから相手の言葉を理解しようとしない不毛な小競り合いは、ネトウヨ(ネット右翼)やネトサヨ(ネット左翼)のバトルがあふれているネット上だけでたくさん。くだらない争いに呆れかえった読者が紙メディアから完全に離れてしまわないうちに、出版各社は右派・左派にかかわらず冷静に「報道全体の検証」をするべきではないだろうか。(佐藤勇馬)

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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