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「自炊代行は違法」判決にネットから反発の声 “時代に合わない法律”との見方も

書籍をスキャナーなどで読み取って電子化する「自炊」の代行業者に対し、東野圭吾、浅田次郎、大沢在昌、弘兼憲史、永井豪ら作家や漫画家たちが著作権侵害を訴えていた裁判で、東京地裁が代行業者側に複製行為の差し止めと計140万円の損害賠償を命ずる判決を下した。近年、スマホやタブレット端末の普及により「自炊」をするユーザーが急増しており、手のかかる自炊作業を代行する業者の需要も高まっていた。業者側は控訴する方針のようだが、今回ハッキリと「違法」という司法判断が出されたことによって「自炊代行」は大きな変化を迫られることになりそうだ。

原告の作家らの訴えに対し、被告の代行業者「サンドリーム」「ドライバレッジジャパン」の2社は“手足論”で応戦。「顧客の手足として私的複製を補助しているだけ」と主張し、法律で認められている個人ユーザーの私的複製の手助けをしているに過ぎないという論理を展開した。だが、東京地裁の判断は「複製行為の主体は業者」というものだった。つまり、自炊における「複製行為」は電子ファイル化の作業そのものであり、依頼者が個人だとしても代行業者が電子化作業を行った時点で違法だという理屈だ。

一般人の観点からすると納得できるような、できないような不思議な論理であるだけに、ネット上では以下のような疑問の声が多数上がっている。

「自分で買った本を誰にスキャンしてもらおうと勝手じゃないか」
「日本の新規事業を潰すような判決」
「正規の電子書籍のラインナップがスカスカなのは棚に上げてるな…」
「もう法律が現実に合わなくなっているのでは」

とはいえ、今回の判決で全ての自炊代行が禁止されたわけではなく、権利者の許諾を受ければ今後も業務に問題はない。違法と判断されたのは、あくまで無許諾の業者についてだ。業者と権利者の歩み寄りも進んでおり、今年3月に作家らのグループが「Myブック変換協議会」を設立し、自炊に関するルールづくりを検討。業者側も今年6月に業界団体を設立し、意見交換を経て合意した基本ルールの概要を発表している。

発表では「電子化は権利者の許諾を得た上で行い、同タイトルの書籍についても毎回許諾を受けた上で電子化を行う」「電子化の許諾対象は個人の蔵書のみとする」「裁断済みの本は受け付けない」といったルールの徹底が明示されている。さらに、「電子化した本は溶解処分などで必ず廃棄する」「作成した電子データは利用者が分かるように情報を埋め込む」いうルールも提示されており、これについては一部で「利用しづらくなるのでは」と不安視されているようだ。

「最近は非破壊型スキャナーが登場し、書籍を裁断せずに電子化することが可能になりました。非破壊型を業者が導入すれば、ユーザーは書籍を代行業者に電子化してもらった上で、返却された原本を大事にとっておくことができる。しかし、このルールでは原本は絶対に廃棄するということですから、ユーザーの選択肢を狭めることになってしまう。ファイルに情報を埋め込むというルールについても、電子データに何かしらの利用制限が加えられる可能性がある。結果的に、本を買ってくれた読者の不利益になってしまうのでは」(PC雑誌編集者)

「許諾を得ていればOK」というところまで権利者側の歩み寄りは進んでいるものの、いまだに自炊代行をめぐる問題は完全には解決していない。業界ルールがうまく機能するのかは未知数だが、権利者側が時代に合わない“業界の論理”に固執するあまり、読者を置き去りにするような事態になることだけは避けてほしいものだ。(佐藤勇馬)

■関連リンク:
電子化した本は「溶解処分」が必須!!?“自炊代行に関するルール”にユーザーが大反発

http://exdroid.jp/d/58829/

 

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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