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ネットの「匿名文化」の終焉か 2ちゃんねる“個人情報流出騒動”が広げた波紋

日本のインターネットで昔から根付いている匿名文化。重大な告発やリークなどが期待できる一方で誹謗中傷を生みだす要因にもなり賛否両論はあるが、巨大掲示板「2ちゃんねる」をはじめ、日本のネット文化の発展に大きく影響してきたのは紛れもない事実だ。だが、その匿名文化の根本を揺るがすような事件が相次いで発生している。

先日、2ちゃんねるの有料サービス「2ちゃんねるビューア」の会員情報およそ3万件が流出する騒動が発生した。クレジットカード番号や名義人、使用期限、セキュリティコード、住所、電話番号など「個人情報フルセット」といっていいデータが流出して大問題になっており、流出リストのメアドから複数の著名人が同サービスに登録していた疑惑も浮上。自民党の片山さつき議員(本人は登録を否定)や外務省や警察関係、大手上場企業などが同サービスを利用していた可能性が取りざたされている。

また、投稿履歴も一緒に流出したため、メアドと照らし合わせることで誹謗中傷や自作自演をしていた人物を特定することが可能になった。この特定作業により、アニメ化もされた『神様のメモ帳』などで知られるライトノベル作家の杉井光氏が特定の同業者を名指しして「ただの基地外」「虚言症」などと匿名で中傷を繰り返したことが暴かれ、公式サイトで謝罪する事態に発展。また、「なんでも実況J」(なんJ)板のまとめサイト「僕自身なんJをまとめる喜びはあった」の管理人が有名な“荒らし”だったことも判明し、その責任をとってサイトを閉鎖している。

これだけでなく前述したように政治家や官公庁の登録も噂されているだけに、もし匿名による大量書き込みやスレッドの作成で“世論操作”をしていたようなことが発覚すれば、さらなる大問題に発展するだろう。実名が暴かれて大事件になっているのは2ちゃんねるだけではなく、ネットを使って不特定多数に業務を委託する「クラウドソーシング」業界で大炎上事件が発生し、Twitterの匿名アカウントで誹謗中傷を繰り返していた人物が所属する企業から懲戒処分を受ける事態も起きている。この騒動では、有名ブロガーが匿名アカウントの実名をサイト上で暴露したことで東証一部上場企業が公式に処分を発表するほどの大問題に発展した。

素性が分からなければ何を言っても大丈夫という安心感から、匿名ユーザーは過激な言動や誹謗中傷、自作自演などをしがちだ。だが、その匿名性は決して絶対的なものではなく薄氷のようにもろいものだということが露呈したといえるだろう。今回のような個人情報流出や暴露によって実名が明らかになれば、とんでもないしっぺ返しを食らうことになる。匿名で発言するメリットよりも、実名発覚後の損失の方が明らかに大きいことも分かった。一連の騒動は、長らく続いてきたネットの匿名文化の終焉を予期させる出来事といえるのかもしれない。(佐藤勇馬)

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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