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スマホを持ってるだけで逮捕される!!? 「児童ポルノ禁止法」改正案の危険すぎる中身

自民、公明、日本維新の会の3党は5月29日、児童ポルノ禁止法改正案を衆議院に共同提出した。今国会での成立を目指している。子どもが犠牲者になる児童ポルノはもちろん撲滅すべき存在だが、この改正案は表現の自由の侵害や過剰な自主規制を招く危険性が指摘されており、各界の識者や著名人らが猛反発の声を上げている。

改正案では、児童ポルノの単純所持を禁止し「自己の性的好奇心を満たす目的」での所持に1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す。この法案が可決されれば、宮沢りえが17歳当時に撮影したヌード写真集「Santa Fe」(朝日出版社)など、芸術としても愛されている多くの作品が“ご禁制の品”になってしまう恐れがある。改正案提出の中心になっている自民党の高市早苗政調会長は「芸術性の高いものは大丈夫」と説明しているが、誰が何を根拠に「芸術か、児童ポルノか」を決めるのかは不透明だ。

この件について元官僚の作家・林雄介氏は「自動車のスピード違反検挙みたいに児童ポルノ検挙数のノルマが決定され、現場の警察官が数合わせの検挙をするようになる」と自身のブログで指摘。検挙数を稼ぐために「とりあえず、スマホを持っている人を逮捕」という理不尽な事態も起こり得ると危惧している。

さらに、この改正案には「政府が漫画・アニメなどが児童の権利を侵害する行為と関連性があるか調査研究し、三年後を目処に見直しを検討する」という附則がある。このまま成立すれば、遠くない未来に二次元にまで表現規制や単純所持の禁止が及ぶことにもなりうる。

人気漫画「金田一少年の事件簿」(講談社)の原作などで知られる樹林伸氏は「児ポの非実在青少年まで巻き込む単純所持罰法案は、人間の心の中までも規制し、支配しようとする傲慢さに満ちている。他人に迷惑をかけなければ、なにを嗜好しようと勝手じゃないか」と自身のTwitterで怒りを爆発させた。さらに樹林氏は「お願いだから、狭量な政治家の独善的な判断で、日本が世界に誇れるアニメや漫画を、台無しにしないでくれよ」などと悲痛な叫びを綴っている。

日本の漫画やアニメは政府主導の「クールジャパン」の重要コンテンツとして扱われている。しかし、クールジャパン戦略担当大臣である稲田朋美氏自身が、バリバリの表現規制派である事実はあまり知られていない。稲田氏は今回の改正案を推進した一人で「表現の自由といえども全て無制限というわけではない」と発言するなど、「それとこれとは別」といった態度をとり続けている。これは児童ポルノ云々だけの問題ではなく、作品づくりの根本にかかわる問題であるということを理解していないようだ。

今回の法案は一部では、夏の参院選を控えた国会の日程の関係で、審議できずに期限切れになるとの推測もある。だが仮に期限切れになっても、参院選で自民が大勝すればいずれ改正案の話が再浮上し、ねじれ国会の解消によってスピード成立してしまう危険もありそうだ。

また、児童ポルノ法改正は業界の過剰な自主規制を招く恐れもある。大手オークションサイト「ヤフオク!」は5月23日、アダルト関連商品の出品ルールを変更。「被写体の実年齢や被写体が実在するか否かにかかわらず、18歳未満の者の性的な姿態を連想させると当社が判断した商品」の出品を禁止すると発表した。具体例として「被写体がランドセルを着用している商品」や「説明文にJC、JKといった用語が使用されている商品」が挙げられているが、これも今回の改正案提出を見越しての動きといえるだろう。

ネット上でも有名・無名を問わずに多くの反対の声が上がっている児童ポルノ改正案。果たして、この切実な声に政治家たちは耳を傾けてくれるのだろうか。(佐藤勇馬)

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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