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ついに逮捕者も出た「ネオヒルズ族」 “絶対に儲かる”仕組みのウラ側

今月1日、漫画などを不正に複製して電子データを販売したとして、書籍電子化代行業の藤野真容疑者(25)が著作権法違反容疑で逮捕された。スキャナーを使った書籍の電子化は「自炊」と呼ばれ、その是非をめぐっては賛否両論あるが、今回はユーザーからの電子化の依頼と関係なく漫画データを勝手に複製して販売していたという明らかな著作権法違反での逮捕。

藤野容疑者は「電子書籍化で起業家を目指す!!」というブログを運営しており、その中で「ブログ開設から3ヶ月で月収100万円オーバー達成!」などと威勢よく書いているが、実際は家賃約3万円のマンションに事務所を置き、経営状態も楽とはいえなかったようだ。

その彼が熱心に交流していたのが「ネオヒルズ族」と呼ばれる人々。かつて六本木ヒルズに居を構えていたホリエモンこと堀江貴文氏や楽天の三木谷浩史社長、サイバーエージェントの藤田晋社長らが「ヒルズ族」と呼称されていが、彼らに代わって2011年ごろから台頭してきたのが「ネオヒルズ族」だ。

ネオヒルズ族の商標登録者でもある久積篤史氏や、テレビや書籍広告でおなじみの与沢翼氏らが代表格とされ、六本木ヒルズなどの高級マンションに住み、高級外車や高級ブランドをうなるほど所有しているのが特徴。倒産や失業を経験し、そこから成りあがったというエピソードを喧伝している者が多いという傾向もある。バブル時代を彷彿とさせる豪勢なパーティーも頻繁に開いており、彼らに憧れる藤野容疑者はそういった場でネオヒルズ族と交流していたようだ。

いまだ世は不景気にもかかわらず、ネオヒルズ族の景気の良さは別格。特に与沢氏は年収12億円といわれ、家賃250万円のマンションに住み、7000万円のロールスロイスや4000万円のフェラーリを現金一括購入したという伝説もある。その稼ぎっぷりにメディアも注目し、テレビや雑誌への露出も急増している。

とはいえ、テレビなどでの紹介では「インターネットを活用したビジネス」をしているというだけで何をしているのかは今一つ伝わってこない。彼らは何をやって巨万の富を築いたのか。それはズバリ「情報商材」である。

「情報商材」とは、その名の通り情報を商品として販売するもの。ネオヒルズ族が扱っている情報商材は「ビジネスを成功させる方法」が中心になっている。分かりやすく言えば「私はこうやって○○億円稼いだ!」といった類のものだ。起業志望者らを対象にネットやセミナーで情報商材を売り、そこでさらに別の商材や経営塾への入会を勧めるといった形で稼ぎを増していくのである。経営塾に入るとノウハウが伝授され、それを別の顧客に販売する権利が与えられるというネットワークビジネスも展開されている。これはネットを活用した新時代のビジネスとされる一方で「ネズミ講まがい」といった批判もあるようだ。

当然、このビジネスモデルで巨万の富を得られるのはピラミッドの頂点にいる一握りだけ。ピラミッドを支える大多数は頂点を夢見ながら、苦しい経済状態で健気に頑張るしかない。この流れの中で前述の藤野容疑者のように、違法ビジネスに手を染める者が現れてしまったともいえるだろう。

ITジャーナリストの佐々木俊尚氏はネオヒルズ族について、

「マスメディアなどでホリエモンとかと一緒に見られてしまうのが非常に心配。真っ当なウェブビジネス展開してて技術力も高かったライブドアと、情報商材を一緒にしちゃいかんと思うけど……たぶん見分けが付かないひとが多いんじゃないかなあ……」

と、自身のフェイスブックで指摘した。もし、仮にヒルズ族と同様に社会問題化した際には「やっぱりITは悪い奴が多い」という結論が出されてしまうのではないかと佐々木氏は危惧している。

時代の寵児ともてはやされ、一部の若者たちが憧れているネオヒルズ族。しかし、様々な問題や疑惑が噴出しているのも事実であり、いろんな意味で今後も目が離せない存在といえそうだ。(佐藤勇馬)

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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