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違反者は懲役2年 「違法ダウンロード刑罰化」でネットの自由はどうなる!!?

6月20日午後、参議院の本会議で著作権法の改正案が可決・成立した。この改正案には「リッピング違法化」という重大な規定が入っているが、それ以上に我々の生活に多大な影響を与えかねない「違法ダウンロード刑罰化」という修正案も盛り込まれている。

前日に開催された文教科学委員会の質疑では、インターネットユーザー協会代表理事でITジャーナリストの津田大介氏やエイベックス顧問で慶応大学大学院教授の岸博幸氏らが招致された。岸氏は違法ダウンロード刑罰化賛成の立場から、「日本の文化を守る点から不可欠。良いコンテンツ、良いアーティストに資本投下したレコード会社が正当に報われるようにしなければならない。ネットで無料入手できる環境は改める必要がある」とし、「市場を公正なものにし、価値あるものにはお金を払うものにしなければならない」と指摘した。

一方、反対の立場の津田氏は、音楽業界の要請を受けて自民・公明が議員立法による修正案で違法ダウンロード刑罰化を改正案に盛り込んだという経緯に対し「一部の業界の意見だけを聞いている」と批判。さらに「一番の問題は社会全体に影響が及ぶ著作権法をいじること」とし、刑事罰導入によって「CDが売れるようになるかというと、ならない」と指摘。今後、どの著作物が合法か違法か判断しきれない状況で規制範囲が拡大されて行けば、「ユーザーは萎縮することで単純に音楽を買わなくなる」と分析している。

そもそも、この「ダウンロード刑罰化」は国民にとって急に降ってわいた感がある。それもそのはずで、「写り込み等に関わる既定」「国会図書館のデジタル化資料に関わる既定」「リッピング違法化」などの整備を目的とした政府案が審議された後に、ほぼ無関係といっていい「違法ダウンロード刑罰化」を盛り込んだ修正案が自公によってドサクサにまぎれて提出され、民主も賛成。国民の合意がないまま実質的な協議もなく、刑事罰を含んだ法案が可決されてしまったことになる。

では、この修正案が施行されると我々の生活にどのような影響があるのか。

「リッピング違法化」に関しては、コピープロテクトをかけられたDVDやCD、ゲームソフトのデータを吸いだす行為が規制対象になり(刑事罰なし)、リッピング用の機器やソフトの提供は刑罰の対象になる。ただし、現在販売されているCDは基本的にプロテクトが掛かっていないため、コピーコントロールCDでもない限りは、音楽ソフトを私的使用目的でコピーしても違法ではない。また、昨今問題視されているマジコン(海賊版ゲームソフトを動作させる機器)は不当競争防止法で販売が禁止されたが、今回の著作権法改正でマジコンを利用することも刑事罰はないものの違法になった。これに関しては、歓迎する声が多いようだ。

問題は「ダウンロード刑罰化」。「違法にアップロードされた音楽ファイルなどを違法と知りながらパソコンやスマートフォンにダウンロードする行為」が刑事罰の対象になるが、違反者には最大で懲役2年または罰金200万円という厳しい刑が科せられる。これは権利者の告訴がなければ罪に問えない「親告罪」とはいえ、「違法と知りながら」の判断基準が非常に難しい。

警察のサジ加減ひとつで、判断能力の低い子どもやデジタル知識の乏しい中高年が摘発対象になる可能性は否めない。ネットに慣れているユーザーでも、合法ファイルと違法ファイルを見分けるのは難しい。また、強制的に違法ダウンロードをさせるウイルスやプログラムによって、身に覚えのない罪に問われる危険性もあるだろう。

さらに、YouTubeやニコニコ動画などは、一時ファイルとして動画を保存しながら再生する形式だが、これも動画が著作権を侵していれば違法ダウンロードと解釈される可能性があり、適用されるのかどうかはハッキリとは定められていない。

いずれも適用前の現段階では可能性の話ではあるが、それだけどのようにでも解釈でき、誰もが摘発対象になりうる法案だといえる。著作権者の権利は守られるべきものだが、あまりに大ざっぱで乱暴な法案可決だったといえるだろう。しかし、改正案は可決され、10月1日にも施行されてしまう。

前述の津田氏は自身のTwitterで「インターネットの声が確実に『票』に影響すると議員が認識しない限り、今回みたいにネットが軽く見られる状況は続く」と指摘している。今まではそれぞれが独立していたネットとリアルの秩序だが、その垣根が崩れたことで、ネットユーザーは自由を確保するためには現実と戦わなければならない事を認識させられたといえるだろう。(佐藤勇馬)

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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