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図書館を「ツタヤに丸投げ」の佐賀県武雄市長に批判殺到 Twitterでも大バトルを展開中

佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長が、来年4月から市図書館の運営をレンタルビデオ店「ツタヤ」を展開する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」(CCC)に任せることで同社と合意したと発表した。かねてから樋渡市長は「図書館をツタヤのようにしたい」という構想を温めており、市は6月定例会に同社を指定管理者とする議案を提出。認められれば、民間企業が管理する画期的な公立図書館が誕生することになる。

樋渡市長とCCCの増田宗昭社長は「年中無休で朝9時から夜9時までオープン」「図書カードをTポイントカードに置き換え、本を借りるとTポイントがつくようにする」「雑誌や文具を販売する」といった斬新な構想を発表。民間に委託することで年間1割程度のコスト削減も見込んでいる。

この発表会見はユーストリームで中継されたが、セキュリティ研究者の高木浩光氏がTwitter経由で「Tポイントカードで図書を借りたとき、その情報はCCCに提供されるのか」との質問を投げかけると、急に会見は緊迫した雰囲気になった。

樋渡市長は語気を荒げて「これ(※貸出情報)、個人情報だって名の下にね、(今までは)全部廃棄してたんですよ。なんで本を借りるのが個人情報なのか、って僕なんか思いますので」「元々、何を借りたかっていうのは、なんでこれが個人情報だ!って思ってるんで」と返答。また、CCC担当者は「マーケティングでデータベースとして(貸出情報を)使用するということは有り得ると思う」と解答した。

これを受けて高木氏は、自身のサイトで「どんな本を借りたかが個人情報でないとは斬新な市長だ。しかもそこを、このように怒りをぶつけるようにして言ってしまうというのは、どのような気持ちの背景があるのだろうか」と呆れるように記述している。

さらに、高木氏はTポイントカードの規約の「利用者の購買履歴がCCC以外の事業者に提供される」という部分にもツッコミを入れている。図書館の利用情報が、委託事業者だけでなく他の企業にも流れるとしたら穏やかではない。日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」における『読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は利用者の読書事実を外部に漏らさない』という記述にも反する。

樋渡市長は将来的に全ての図書カードをTポイントカードに移行したいと語っており、それが実現すれば、図書館を利用する市民の読書情報は否応なく、CCCや他の企業に提供されることになる。CCC側はTポイントカード規約の適用に関しては「検討中」としており、来年4月からどうなるかは未定の状況。

もっとも、高木氏が問題視しているのは、当たり前のように「読書情報は個人情報ではない」とする樋渡市長の考え方だろう。樋渡市長は市のホームページをFacebookに完全移行し、「日本ツイッター学会」を立ちあげて学長を務めるなど、SNSやネットを積極的に活用する市長として知られている。それだけに、市長の個人情報に対する意識のあり方が問われているようだ。

二人のバトルはTwitter上でも展開され、樋渡市長は高木氏に公開討論会への出席を要求。樋渡市長は「この問題は地方自治、地方行政、図書館の在り方など全般の話だから。セキュリティだけの世界から出てきてくださいね」と挑発した。さらに樋渡市長は「今週上京してあなたの職場(※高木氏は独立行政法人に勤務)にこのblogを持って行きます。上司に判断してもらいましょう」「多くの国会議員に報告します」と追い詰めようとしたが、高木氏は「職務で専門外のことを話すことは許されていません」「(市長が問題視している)ブログやTwitterは職務ではない」と拒絶。樋渡市長が「敵前逃亡だ」と断じる泥仕合となっている。

ネット上では、樋渡市長の個人情報意識だけでなく、あまりにもぞんざいな物言いにも批判が強まっている。いずれにせよ、個人情報の問題を解決せずにスタートはできないはずの“公立ツタヤ図書館”。このまま強引に突っ走ってしまうのか、冷静な検討によって落とし所を見つけるのか、注目していきたい。(佐藤勇馬)

参照リンク:武雄市長物語 http://hiwa1118.exblog.jp/

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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