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課金上限「自主規制」に踏み切る“ソーシャルゲーム”業界のウラ事情

ソーシャルゲーム大手のGREEとディー・エヌ・エー(DeNA)が23日、未成年ユーザーに対する課金額の上限を導入すると発表した。GREEは4月26日から、15歳未満のゲーム内通貨の購入可能額を月額5000円以下、16~19歳は1万円までに制限。モバゲーを運営するDeNAは6月をめどに、18歳未満は月額1万円まで、15歳以下は月額5000円までとする。購入可能額の制限はドワンゴやミクシィなど他社も順次開始する予定となっている。

ソーシャルゲームをめぐっては、レアアイテムをゲットするための「ガチャ」と呼ばれるアイテムくじによって、子供が大金を使ってしまうケースが頻発。アイテム課金はPC用のネットゲームにおいて昔から存在したが、18歳未満は持てないクレジットカードを使わなければならなかったり、WEBマネーを購入しなければならないというハードルの高さがあった。だが、ソーシャルゲームは携帯電話の使用料に上乗せされる「キャリア課金」が可能なため、子供でも簡単に課金できてしまう。

長らく問題視されながらも具体的な対策がとられてこなかったが、ここに来て大手2社を含めた業界全体で年齢による課金上限を設けることになった。今回の突然の自主規制の発表には、ソーシャル業界に国の行政指導や法規制が入るのではないかとのウワサが関係しているようだ。

「何かしらの公的規制が入るとの情報は、かなり前から業界で流れている。その真偽は定かではないが、今まで未成年からも取り放題という野放し状態でやってこれたことが異常だった。公的規制が導入されれば、市場の縮小は免れないだけに、業界は自主規制で先手を打って公的規制をかわそうとしている」(ソーシャルゲーム関係者)

大々的に自主規制を発表したものの、その方法にも疑問符がつく。GREEもモバゲーも、ユーザーの年齢は自己申告制。年齢で課金制限をしたところで、未成年が成人と偽れば制限は意味をなさない。対策として、ケータイ会社から契約時の年齢情報の提供を受け、自己申告した年齢と照合することで確認する方法がとられているが、全てのユーザーをチェックできるわけではない。それだけでなく、子供が親の携帯電話を使って課金するケースなど、いくらでも抜け道はある。また、そもそも15歳未満の上限が年間6万円というのは高過ぎるのではないかとの意見もある。

株価の面から見てみると、両社が課金上限導入を発表した翌日の24日、DeNAは前日比4.1%ダウン、GREEは前日比3.0%ダウンとなっている。シビアな投資家たちは、この自主規制で売上が減少すると読んでいるようだ。この市場の反応は、ある程度は予測されていただろう。イケイケドンドンで走ってきたソーシャルゲーム会社が自主規制に乗り出すほど、公的規制は業界にとって恐ろしいのだろうか。

「公的規制が入れば、業務の全てに制限が出てくる可能性が高い。現在の業務形態は、いわば24時間営業の無店舗型ゲームセンターだが、営業時間や課金システムに制約がつけば大打撃になるだろう。課金収入のほんの一部でしかない未成年ユーザーに対して自主規制を実施し、それを盾に規制を免れたいのが本音」(前同)

事実、ソーシャルゲームは年齢が高いほど課金ユーザーが多くなる傾向がある。スマートフォンユーザーを対象にした調査(シード・プランニング調べ)によると、モバゲーの年代別課金率トップは40代以上で30%近くが課金しており、最も低い10代と16.2ポイントの差がある。GREEは30代が約20%でトップとなっており、同じく最も低い10代と7.5ポイントの差。10代は課金額も少なく、課金上限を導入しても収入面では大した影響はないといえそうだ。収入面やモラル批判などを複合的に考えた末に、10代の課金を制限するという行動に出たのだろう。

だが、課金上限の導入が効果を出したとしても、未成年を含めた出会い系化、ユーザー同士でレアアイテムを現実のお金で売買するRMT(リアルマネートレード)の横行、それを仲介する業者の登場など、他にも公的規制の口実になる問題は山積している。一部では、パチンコ業界がソーシャルゲームを敵視し、公的規制を水面下で推進しているという情報も流れている。いずれにせよ、公的規制が現実味を増してきたことで、業界は大きな転換点を迎えているようだ。(佐藤勇馬)

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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