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初音ミクがNHKで生ライブ披露 人気絶頂のウラにある不安

28日放送の「クローズアップ現代」(NHK総合)でボーカロイド・初音ミクが特集された。番組では、架空のキャラクターでありながら世界各国でライブが開かれるミクの国内外での人気ぶりや、自然な歌声を再現した最新技術の仕組み、進歩し続ける音声合成技術の医療分野への利用などが紹介された。同番組の公式サイトでは、番組で一部しか紹介されなかった「FREELY TOMORROW」のロングバージョンが公開され、「クローズアップ現代」のスタジオで歌うミクの姿を見ることができる。

初音ミクはヤマハが開発した音声合成システム「VOCALOID2」を使ったソフトウェアであり、メロディと歌詞を入力することで合成音声によって自然なボーカルを再現できる。2007年の登場から5年が経過したが、その人気は陰りを見せる気配がなく、むしろ海外進出などで高まっているといえる。

ここまでムーブメントが大きくなった要因として、ユーザーの盛んな創作活動が上げられる。ミクを販売するクリプトン・フューチャー・メディアは、非商用・無償の二次創作の公開や配布を認めており、ソフトウェアの利用だけでなくキャラクターの画像の利用も認めている。これによって、ミクを使ったネット発の名曲や人気動画が数多く生まれ、ボーカロイドシーンの活発化につながっている。

ユーザーにとっては利用しやすく、メーカーにとっては商品の周知や人気の維持が続けられるという絶妙の構図によって、音楽制作ソフトウェアとしては異例ともいえる長期間の人気を保持しているといえるだろう。

だが、なかには商用利用に使ってしまうユーザーもおり、クリプトン社は注意を喚起している。「Gumroad」など個人が簡単にデジタルコンテンツを販売できるサービスが登場し、ミクを使った同人誌やイラストも売られているが、クリプトン社は営利目的での二次利用は基本的に許諾していない。
同社は「個人のクリエイターの方による、デジタルデータのダウンロード販売につきましては、理論的には大規模の頒布を極めて低廉なコストで行えることから、弊社としては上記の目的に合致しないため、原則として許諾をいたしておりません」と、あらためて指針を告知している。

ミクなどのボーカロイドに関しては、前述のように基本的に利益が発生する形の利用は認められていないが、コミケなどでの販売については「個人や同人サークルが実費程度の対価を受け取る場合」に限り、同社の「ピアプロリンク」に申請することで認めている。

しかし、現在の同人文化はデジタルデータ販売が大きな要素となり、即売会に参加せずにデジタル販売のみに切り替えた人たちも多くなった。大規模な商用利用を止めたいという目的は理解できるが、即売会でミクの同人作品を販売し、驚くほどの利益を叩きだしているサークルが存在するのも事実であり、デジタル販売のみ認めないという方向性に矛盾が生じている気もする。「即売会はOK、デジタル販売はNG」としたクリプトン社の指針は、二次利用によって支えられてきたミク人気にどのような影響を及ぼすのだろうか。今後の動向に注目したい。(佐藤勇馬)

画像引用元:
クリプトン・フューチャー・メディア製品紹介ページ http://www.crypton.co.jp/mp/pages/prod/vocaloid/cv01.jsp
NHK「クローズアップ現代」公式サイト http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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