インタビュー

非モテは甘え!!? “こじらせ系女子”雨宮まみが語る女の現実

今、ネット上で「こじらせ系女子」というキーワードが話題となっている。これはAVライター・雨宮まみの著書『女子をこじらせて』(ポット出版)に共感する女性たちを指す言葉だ。

同書は、中学時代に“ブス判定”されたために「自分に欲情する男はいない」「誰にもセックスしてもらえない」とまで悩んだ雨宮まみが、容姿を磨いても消えることのない女に生まれたがゆえの自意識と劣等感に苦しみ、悲惨な恋愛体験や仕事で傷付きながらも健気に生きてきた半生を描いた自伝的エッセイ。「モテキ」で知られるマンガ家の久保ミツロウや元AV女優でライターの峰なゆから有名人も同書に共感しており、こじらせ系女子は現代のリアルな女性像の一つとして注目を集めている。

こじらせ系女子の実態を深く探るため、著者の雨宮まみに直撃インタビューを敢行した。

――雨宮さんに共感する「こじらせ系女子」とは、どのような女性が多いんでしょうか?

一概にはいえないと思うんですけど、イベントとかで実際に会った女の子たちは、一見みんな普通にキレイで可愛らしいんですよ。取りたてて問題があるようには見えない。でも、内面的に「自分は普通の女の子じゃない」という意識を抱えてる人達が多いですね。

――どのような悩みを抱えているんでしょうか?

物心ついた時から美醜を比較されることで生まれる女性特有のヒエラルキーやモテ格差といった部分で傷付いたり悩んだりしている人が多いんじゃないかと思います。女性は特に容姿で比較されやすいし、子供の頃ですら、可愛いか可愛くないかで周囲の大人の反応が違うのは感じますからね。自分で自分のポジションがどこなのか意識せざるを得ないですし、そのポジションをわきまえた振る舞いをしようとして、過剰に自己評価を意識しすぎてしまうという感じでしょうか。

――女は容姿を比較されることから逃れられないわけですね。

女性は見た目や若さ、色気といった「女として」以外の部分だけで正当な評価を得るのが難しいと感じます。たとえ仕事でどんなに頑張っても「でも彼氏いないんだよね」「でもブスだよね」の一言でおとしめられたり、実力があっても「恋愛とかしてなさそうだし、幸せじゃなさそう」と言われたりもする。もはや容姿の問題ですらなくて「女性として、力まずうまくやっている」感がないとスムーズに受け入れてもらえないという息苦しさがあります。同性の間でさえ、実力があってもモテなさそうだったり、恋愛や結婚がうまくいってなさそうな女性は憧れの対象から外れていく場合があります。

――著書の中で雨宮さんは悲惨な恋愛体験を綴っていましたが、こじらせ系女子は「だめんず」との恋愛に陥りやすいイメージがあります。

私もそうですが、学生時代などに美醜で比較される段階で「可愛い」「美人」と判定されなかったことで、大人になっても自己評価が低かったり、自分に自信が無い人が多いんですよ。そういう女性って、男性にとっては付け入りやすいんですよね。自分に自信がない人はプライドの持ちようがないので、特に一対一の関係になると相手のいいようにされやすい。恋愛スキルに長けた男性から見たら、獲物にしやすいタイプなのかもしれません。

――都合のいい女にされやすいわけですね。

男女ともに、自信のなさや弱さを前面に出すと、強者に付け込まれやすいから危険だと思いますね。恋愛は戦場なので、弱さをアピールしてしまうと「こいつだったら俺でも食えるんじゃねえの」みたいに考える、たいして強くないけど自分より弱い者には容赦ない中途半端な肉食獣みたいなのが寄ってくることがあるので注意したほうがいいと思います。

――こじらせ系女子は草食系ということでしょうか?

それは全く違います。こじらせ系の女子は、黙ってても幸せがやってくるなんていう、白馬の王子様幻想はとっくの昔に捨てていて、むしろ人一倍頑張らないと自分は恋愛できないんだ、女として見てもらえないんだって真剣に思っている人が多い。だから自分から勇気を振り絞ってアプローチするし、恋愛対象にしてもらうためにどうしたらいいのか考えて、すごく頑張っている子が多いです。

――努力しているのに、なぜ悲惨な恋愛体験をしてしまうのでしょう?

こじらせ系の女子がみんな悲惨な恋愛をしてるって決めつけないで欲しいんですけどね……。私自身は確かに悲惨な体験をしてますけど。そういうパターンがあるとすれば、こじらせ系の女子は頭で考えすぎるところがあるんじゃないかと思います。女慣れしている悪い男って、理屈じゃないところからくるんですよ。セックスで情が湧くとか、そういう部分を容赦なく利用してきますからね。理屈の上で賢い女性ほど、理屈の通じないそういう男性に転がされてしまうことがあるのかもしれないですね。

――最近は「若者の恋愛離れ」といわれていて、18~35歳の男女の半数近くが恋人なしという調査結果も出ています。一般の若者よりも、だめんずや中高年の方が恋愛に積極的ですし、女性の扱いも上手い。自分も含めて世の非モテ男性たちは、女性を上手に転がせる一部の男性に同年代の女性をとられているせいで、恋愛弱者になってるのではと思うのですが…?

「とられて」って言い方が、もう甘えですよ!「40、50のオッサンに女を取られてるから、俺たちに回ってこないんだ」みたいな考え方は完全に甘えです!

――あ、甘えですか。すいません…(なぜか謝る)

言い方を変えれば、男は40、50になっても女性を扱うテクニックさえあればモテるってことじゃないですか。いくつになってもやり直せるって思ってるから、若いうちに積極的に行動しないんじゃないですか?

――確かに、恋愛はしてみたいけど、傷付くのが怖いとか面倒だという理由で今は恋愛から遠ざかっている若い男性が増えている気がします。その背景には、パートナー探しを焦らなくてもいい男性側の余裕があるのかも。

一方で、女は年をとったら誰も相手にしてくれないんじゃないかっていう恐怖心があるから、そんな悠長なことは言ってられないんです。30代までに結婚しとかないと厳しいとか、それ以降に結婚できても子供をつくる場合は高齢出産という現実が待ってるわけです。特に30前後の女性は「もう無駄弾は撃ってられない!」って意識が強いです。「年をとってからでも、気の合う相手と出会うかもしれない」って信じたいですけど、それはもう北風の中でマッチに火をつけるような感覚でしか信じられないわずかな希望ですね。

――「女子をこじらせて」は、同じ悩みを持つ女性たちに向けて書いたという意識が強いと思いますが、男性読者にはどのように読んでほしいですか?

男性側からすると、一見普通なのに異常に自己評価が低かったり劣等感を持っている女性がいるということは想像しづらいと思うんですよね。そういう女性たちが、どんなことで悩んで何を考えているのか、知ってもらうヒントになればと思ってます。そういった悩みに対して「気にすることないよ」の一言で済ませられない女性たちがいるということを知ってもらえれば、男女の相互理解が少しでも進むんじゃないかなと。男女の間の溝を少しでも埋める手助けになれば嬉しいです。

『女子をこじらせて』は、男性からは見えにくい「こじらせ系女子」の内面を知ることができるだけでなく、自分に付加価値をつけるためにサブカルにかぶれた痛い思春期の思い出や、男女共通の非モテの苦しみなども描かれており、男性が読んでも十分に共感できる本になっている。非モテや自意識をこじらせた多くの男女の“心の支え”としてオススメできる一冊だ。(佐藤勇馬)

雨宮まみ(あまみや・まみ)
1976年生まれ。アダルト業界を中心に活躍中のフリーライター。AV情報サイト「メンズナウ」で『AV監督への33の質問』を連載中。共著に『エロの敵』(翔泳社)、『リビドー・ガールズ』(パルコ出版)。初の単著『女子をこじらせて』(ポット出版)を昨年12月に発売。

公式ブログ:雨宮まみの「弟よ!」 http://d.hatena.ne.jp/mamiamamiya/

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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