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毒舌ゆるキャラ「まんべくん」事件に見る炎上マーケティングの可能性

北海道長万部町のゆるキャラ「まんべくん」がツイッター上で「日本の犠牲者三百十万人。日本がアジア諸国民に与えた被害者数二千万人」「どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです。ありがとうございました」などと太平洋戦争に関する発言を連発し、それに市民などから苦情が殺到していた件で、同町はツイッターを中止することを決めた。

まんべくんは以前から、一般のフォロワーに対して「豚野郎ッ!」と発言したり、町長の写真をアップして「おい、ばかやろー」とコメントを添えるなどしており、それが「毒舌を吐くゆるキャラ」として8万人以上のフォロワーを持つ人気アカウントとなっていた。町もPRの一環として話題になってるのであればと任せっきりにしていたが、今回は実際に町に400件を超える苦情の電話やメールが殺到したため、動かざるを得なくなったようだ。

まんべくんの“中の人”だったのは、同町からネット上のキャラクター展開などを委託されていた株式会社エムの社長・佐藤健次郎氏(29)。
同氏は、まんべくんのツイッターを開始した理由について「地元人としての個人的な見方ですが、長万部町は全く商業施設が無く、観光客が来てもリピーターになってくれる方はいないのではないかと思いました。実際に地名の割には田舎でえらい目に会ったという声も聞きました。そこで、まんべくんには長万部の駄目な部分を言ってもらうことにして10ヶ月前にTwitterはじめました」と語っており、観光施設の少ない長万部を偽りのない言葉で全国にPRするための作戦だったようだ。

戦争に関するツイートについては「今回の戦争でのツイートは、終戦記念日前日ともあり、いろんな方と議論できたら素晴らしいですし、歴史を見つめ直すいい機会と思いました。ただそれだけです」と弁明しており、町役場関係者によると「やりすぎだったと本人は反省している」という。この騒動を受けて町は、エム社に対して商標使用許諾権のはく奪を通告し、同社はまんべくんとしての活動はできなくなった。同時に、秋葉原や名古屋などで開催予定だったファンイベント「まんべ会」も全て中止となっている。

戦争ツイートは確かにやりすぎ感が否めなかったが、人口約6000人の田舎町のお世辞にもカワイイとはいえないキャラクターが、約10ヶ月でフォロワー8万人以上という人気アカウントとなり、各ニュースサイトやファッション誌「an・an」(マガジンハウス)などに取り上げられ、果てはファンイベントまで予定されていたという活躍ぶりは、間違いなくPR効果があったといえる。アマゾンのおもちゃ雑貨ランキングでは、まんべくんバッジ3個セット(630円)が12位、まんべくん御守り(800円)が13位に入るなど、経済効果も確実に生み出している。もし、まんべくんがゆるキャラらしいツイートしかしなかったら、ここまでの話題にはならなかっただろう。

昔は「ネットの話題」はネット内で完結してしまっていたが、今はネット発のアクションの効果が素早く現実世界にも大きく波及するようになった。これは芸能や観光PR、ビジネスなどジャンルを問わず、大きな資本を持たない者でもチャンスを生み出しやすい環境になったといえる。その分、ネットから何かをやろうとする人間は多くなり、他とは違う特色を出したり過激な方法を用いなければ、容易には頭角を現すことはできない。過激な言動はウケやすいが、今回のまんべくんや韓流騒動で事務所をクビになった俳優・高岡蒼甫のように、ネットでの発言が現実に自分の首を絞め、たった一言が命取りになることもある。

ネットでの失言によって散った毒舌キャラ・まんべくん(町のキャラクターとしては存続)のギリギリの炎上マーケティングは、その境界線をつかみ取るヒントになるのかもしれない。(佐藤勇馬)

■画像引用元

まんべくんのブログ http://ameblo.jp/manbe-kun/

まんべくんツイッター http://twitter.com/#!/manbe_kun

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佐藤 勇馬

フリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、WEBや雑誌などでネット、携帯電話、芸能、事件、サブカル、マンガ、宗教問題などに関する記事を執筆している。媒体によっては、PN「ローリングクレイドル」で執筆することも。今年1月に著書『ケータイ廃人』(データハウス)を上梓。 Twitterアカウントは @rollingcradle

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