アンドロイドアプリレビュー

電気グルーヴ「お前はどこのアプリじゃ!」がAndroidに殴りこみ!!!

日本のテクノを牽引してきた電気グルーヴの電子書籍アプリ「お前はどこのアプリじゃ!」がAndroidに登場。「TVBros.」で1997~2011年に掲載された過去のインタビュー記事が収録されている。
現在、石野卓球はソロアーティスト、DJとしても世界的に活躍。ヨーロッパのテクノイベントに参加するなど、海外でも高い評価を受けている。ピエール瀧は俳優としてもおなじみで、洗剤のCMにも出演するほど幅広い層に愛されるタレントになった。
それぞれ対照的な才能を持つ2人でありながら、電グルワールドとも呼べる奇妙で独特な世界観を共有している。かつてメンバーだった、砂原良徳(まりん。1999年に脱退)は音楽的に良いバランスを与えていたが、最後までその世界観とはマッチしなかったのだろう。このインタビューを読んでいると、ツアーなどで一緒にいるのは大変だっただろうと想像してしまった。

インタビューは脱線するというより、脱線そのものを目的としている。スマート本(ホン)、アルペジ夫、オシ礼太、秘密基地ならぬ秘密便所、うどん粉人、樽回し、ゼノン石川の角など、奇抜なセンスがもたらした聞き慣れないキーワードで溢れている。マーケットのアプリ説明には「電気グルーヴのもう一つの歴史がここにある」とあるが、いわゆるミュージシャンのインタビュー本にあるようなアルバムの制作意図などはまったく書かれていない。しかし違う意味で、彼らの成熟や進化を感じられる。

特に後半のやりとりは印象に残るものばかりだ。2人がジャングルジムの中に住んでいる理由を問われ、ピエール瀧はこう答える。
「この幾何学的な遊具を見た瞬間、確信したわ。私たちの求めていたサイバー空間はここだってね」
瀧はなぜか性転換を10回以上も繰り返した近未来のオカマになっている。
「すでに性転換は私のライフワークと言ってもいいわ。それが最終的に奇数回で終われば女性、偶数回で終われば男性ということになるけれど、私はどちらでも構わない」
ここだけ読むと、まるで電気グルーブが登場するSF小説のようでもある。もちろん構成している天久聖一の文章によるものだが、2人のセンスがあってこそ生み出されたものだろう。
「まごジャスティスは今後もなにかやってくれそうね」
「孫正義のことだよ」
「彼の『やりましょう』精神には私たちも感銘を受けているのよ」

インタビュー本のアプリに600円は高い印象もあるが、「無駄話以下の寝言に値段をつける暴挙に、業界は騒然」とフォローするように書かれている。あのテレビブロスの豆粒のように小さいフォントではないため、誌面で見るのとずいぶん印象が異なる。たかが2ページの記事にこれほど文章が詰め込まれていたのかと驚いた。
電気グルーヴのファンならば必見のアプリだが、ファンならずともテレビブロスの読者や、彼らのオールナイトニッポンを聞いていたという人なら楽しく読めるだろう。ひさしぶりに電気の曲を聴きながら読んでいたら、卓越した音楽性だけではない、なんとも言い難い強烈な個性に浸ることができた。(秋原とおる)

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